「わたしの『ふつう』とあなたの『ふつう』はちがう」という人権の考え方

 | 弁護士
半田 望

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愛知県の人権啓発ポスターが話題に

ff0082e92bb79d735732d50395c2b3bb_m愛知県が「わたしの『ふつう』とあなたの『ふつう』はちがう。
それを,わたしたちの『ふつう』にしよう」というキャッチコピーで作成された人権啓発ポスターが秀逸である,と話題になっています。

ポスターには「人権問題って何だろう」「性的少数者の人権問題」「インターネットでの人権」など7種類があり,それぞれ漫画で各テーマについて啓発を行う,というものです。
筆者からみても,愛知県のポスターは人権問題の各テーマについてわかりやすく,かつポイントを押さえて作成されており,上手いなあ,という感想です。
そこで,今回は愛知県のポスターを題材に,「人権とは何か」を考えてみたいと思います。

「人権」という言葉の本当の意味は?

「人権」という言葉を辞書で引くと,「人が生まれながらに持っている権利」との意味が記載されています。
確かに,これが人権の中核であることは間違いないでしょう。たとえば,自由を奪われない権利,自由に表現する権利です。

しかし,これだけでは人権のすべてをもれなく説明するものではありません。
たとえば,日本国憲法25条1項が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)や,28条が規定する労働基本権は,人が生まれながらに持つ権利とは少し性質が違います。
これらは社会権と言われ,現在の社会の中で社会的・経済的弱者が人間らしい生活を営むために国家が積極的に介入することを定めるものです。
国家の作為を要求する点で,狭い意味での人権とは少し性格が異なる,とされているのです。

では,このような社会権と狭い意味での人権を合わせた「人権」をどう説明すればいいでしょうか。
私は,先ほど紹介した定義を少し変えて,「人が『個人』として認められるために保障される権利」が人権であると考えています。
言い換えれば,「個人それぞれが人間らしく生きる権利」です。
生物としての「ヒト」ではなく,社会の存在としての「人」または「個人」が尊重される結果認められる権利や自由,それが人権だと考えています。

この視点から愛知県のポスターを見ると,「わたしの『ふつう』とあなたの『ふつう』はちがう。
それを,わたしたちの『ふつう』にしよう」というのは,個人を個人として尊重しそれぞれの違いを認めよう,というものであり,まさに人権の本質を言い表しているのではないでしょうか。

お互いの違いを尊重しあうことが人権の本質ではないか

金子みすゞの有名な詩である「わたしと小鳥とすずと」の一節で「みんなちがって,みんないい」というものがあります。
これは,他人の長所を羨むのではなく自分の良いところを見つめていこうという詩なのですが,見方を変えると愛知県のポスターのように,お互いの違いを尊重しようというものでもあります。
「「わたしの『ふつう』とあなたの『ふつう』はちがう」から,「みんなちがって,みんないい」というのが人権の本質なのではないでしょうか。

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