無認可保育所入所を巡り自治体を提訴!かかる費用は誰が負担?

 | 弁護士
白木 麗弥

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子どもを持つ共働き夫婦にとって大きい保育園の問題

共働き夫婦が子どもを授かったとき、初めに当たる高い壁の一つが保育園の問題です。
この問題、考えてみればかなり前から議論されているにもかかわらず、あんまり解決していないようにみえます。
小学校に上がれば上がったで、学童のお迎えの壁が待っていますが、少なくとも保育園に通わせている間は、転居をするのも一苦労です。

無認可保育所入所を巡り自治体を提訴する事態に

そんな中、三鷹市に対してお子さんを無認可保育所に入れざるを得なかったお母さんが費用の一部である60万円を求めて提訴しました。
つまり、保育所の確保は自治体にあるのだから費用を支払って欲しい(おそらく認可保育園に入園できた場合との差額ではないかと思われます。)ということです。

無認可保育所、もしかすると子育てから離れている世代はご存じないのかもしれませんが、かなりの費用負担となります。
保育料だけで大体月額6万円くらいが相場ですから、一人暮らしのアパートの家賃並。
補助金を設けている自治体もあるようですが、これはすべての自治体に当てはまるわけではありません。
また、無認可保育所には質のばらつきもあり、どこに入っても安心というわけではありません。

居住地域によっても違いますが、現在、保育園の入園選考はある意味「ダメなとこ探し」なところがあります。
近所に親御さんがいるから面倒見られそう、だからダメ。
夫婦フルタイムだけどお金の余裕がありそうだから認可でなくてもいいでしょう、だからダメ。
つまりそういう選考をしなければ決められないほど、待機児童がいるということなのです。
この問題が解決しない限り、表面的な政策をしただけでは少子化問題は改善しないとも思われますが、ではこの訴訟はどうなったのでしょうか。

第一審では、市には最善を尽くす責務はあるが義務はないとして、請求を認めませんでした。
つまりいわゆる行政としての努力を果たす責任はあるが、法的な義務はない、としたわけです。
児童福祉法第24条では「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法 の定めるところにより、保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において、次項に定めるところによるほか、当該児童を保育所(認定こども園法第三条第一項 の認定を受けたもの及び同条第九項 の規定による公示がされたものを除く。)において保育しなければならない。」と定められていますが、これは法的な義務づけを行なったものではないという解釈なのでしょう。

ドイツでは自治体が補償することを認めさせる判決

さて、同じような訴訟でも補償を認めた例があるのがドイツです。
ドイツの刑事・民事分野の最高裁に相当する連邦通常裁判所は2016年10月20日、「地元行政が所得を補償する義務を免除されるのは、入念な計画に基づいて整備したにもかかわらず保育所不足が起きたと証明できた場合のみに限られる」と指摘して、補償を認めました。
この結論の違いには行政訴訟に対する裁判所の姿勢の違いなどその他の要因もあるようにも思いますが、ドイツでは十分な数の保育所を提供する義務を負うと定めた法律が制定されていることがかなり大きかったのではないかと思います。

立法、司法、もしかすると皆さんにとっては「私たちには関係ない」と思われる方もおられるかもしれませんが、こうしたところが私たちを守ってくれているか私たち自身が見守ることが、ゆくゆくは暮らしやすい社会を作ることになると私は思っています。

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