65歳から75歳へ 高齢者の定義の見直しについて想う事

 | 行政書士
寺田 淳

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高齢者の定義見直しの背景

今年の1月6日に一般社団法人日本老年医学会を始めとする7つの学会から構成される「日本老年学会」は高齢者の定義を65歳以上から、75歳以上に引き上げ65歳から74歳迄の世代は、新たに「准高齢者」と定義することを提唱しました。

ごく簡潔に言いますと、「准」高齢者は従来の高齢者と異なり、社会の第一線での「現役労働力の担い手」として再び活躍が期待されるものとされています。
この背景には当該世代の思惑と、世間の思惑の二つの要因が考えられます。

昔と違い、今や60代あるいは70代といっても外見上は50代と言われてもおかしくない元気溌剌、颯爽とした方々は少なくなくありません。
それにも関わらず、年齢というひとつの区分だけで一括りに高齢者扱いされることに不満やモチベーションの喪失を感じているのであれば、現実との整合性に大きな不備があるという事になります。
多くの当該世代がこれまで蓄積してきたビジネススキルやノウハウを自負し、「現役続行」を望んでいるという実態に応えた形と見れば喜ばしいことと言えるでしょう。

もう一つの背景には、少子化による労度人口のいびつなピラミッド構成を前提とした労働力の維持確保があるのは当然で、それと共に雇用環境が保証されれば、さらにもうひとつの課題案件である社会保障=年金制度の立て直しにも効果が期待出来るからではないでしょうか?

今迄の様に、老後の収入が年金のみという不安定な生活基盤から、自分の考えによっては現役として再び社会に参加し、年金以外の収入の確保が可能になるわけです。
思惑通りに事態が推移すれば、年金の支給開始時期についても波風を立てないで先延ばしも可能になるでしょう。
生活の余裕が生じれば消費活動も活発化します、その結果、税収増にも貢献するのです。

人手不足の抜本的解消と、年金制度の再建、消費拡大、税収の増加への貢献… 加えて当該世代のモチベーションのアップとなれば、文句のつけようのない提唱という事も出来るでしょう。

呼称に応じた雇用体系を再整備することが必要に

とはいえ、単に呼び名が変わった=即社会の一線で活躍とはいきません。
企業サイドも新たな労働力として「准高齢者」を受け入れる為の雇用環境や、雇用体系を再整備する必要があります。
例えば年下の管理職との社内整合性を始め、これまでのスキルやキャリアを考慮した人事政策も欠かせないでしょう。 
せっかく意欲に燃えて仕事探しをしたものの、雇用環境は旧態依然としているのであれば、元の木阿弥です。
この対応について、すべてを企業側の自助努力とするのか、国や自治体による支援策を打ち出すべきか、課題は少なくありません。

狙いはサラリーマンの再戦力化?

「体が動くうちは働ける」個人事業主にとって、この呼称の見直しの持つ意味はどの程度のものになるのでしょう?

サラリーマンと違い定年退職とは無縁の仕事で、生涯現役で暮らせる職業に従事する方々から見れば、モチベーションの復活や再び社会に貢献出来るといった面でのメリットにも繋がりません。
高齢者であろうが准高齢者であろうが、日々の仕事を粛々と遂行する事に変わりがないのですから。

こう考えると、この提唱の意味するところはサラリーマン労働力の維持と確保による企業競争力の保持にあるといえますし、その結果として国や自治体の社会保障費の軽減、税収の確保といった現実的な側面も垣間見える気がします。

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