日本における移民政策と外国人人材の活用について

 | 弁護士
舛田 雅彦

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トランプ大統領が移民審査を厳しくする目的

トランプ大統領が就任してから、アメリカは内向きな国になってしまったようです。
イスラム圏7か国の国民の入国規制だけでなく、移民や難民の受け入れについてもテロ対策を理由に審査を厳しくする方針を示しています。
おそらく、移民審査を厳しくする真の狙いは、安い賃金で働いて国内の労働者から職を奪う外国人の流入を少しでも減らしたいということなのではないかと思っています。(トランプ氏の支持者に受けの良い政策です。)

しかし、アメリカの発展は、海外から多くの移民を受け入れ、多様な人材が活躍の場を与えられたことによって築かれてきました。
トランプ大統領自身も移民の末裔なのですから、大統領の移民受け入れに消極的な姿勢には自己矛盾を感じるところです。

日本における移民受け入れの実態

このアメリカの例からも分かるように、移民の受け入れは、国内に多様性(ダイバーシティ)をもたらし、国の活力を高める効果があります。
加えて、我が国のように、出生率が上がらずに人口減少社会を迎えている国にとっては、産業構造を維持するうえでも、外国人人材の受け入れは喫緊の課題です。

これら外国人人材の受け入れについては「出入国管理及び難民認定法」によって在留資格が決められており、平成26年の改正で、高度の専門的な能力を有する外国人について「高度専門職」という在留資格を設け、その「1号」の在留資格によって一定期間在留することで「2号」に認定された外国人については、活動制限を大幅に緩和し在留期間が無期限の在留資格を与えるという制度が平成27年4月から施行されています。

そのほかに、外国からの投資に結びつかなくても、優秀な経営にかかわる人材を受け入れられるように、事業の経営・管理活動を行う外国人の資格を「投資・経営」から「経営・管理」に改め、専門的・技術的分野における外国人を採用したいという企業のニーズに応えるために必要な知識による区分を廃止して包括的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」に一本化しました。

外国人大量受け入れについて真剣に考えるべき時

これらによって、若干ではありますが外国人が入ってきやすくなってはいます。
しかし、我が国にとって必要な人材は、上記のような高度な専門性を持った人たちばかりではありません。
農業や土木・建築の現場、工場などで労働力として期待される人たちにも門戸を開放していかないと、これらの業界の人手不足は解消されないでしょう。

そのため、技能実習と称して実質的に労働力として期待される人たちを受け入れ、勉学のために在留しているはずの留学生が多くの時間をアルバイトに費やしているといった現実もあります。
そのような、グレーな在留資格で仕事をする外国人については、劣悪な環境で働かされ、雇い主から搾取されているという事例も発生しています。

わが国が、外国人の入国に対して比較的厳しい制度を設けているのは、治安の問題もあるのでしょうが、自国の労働者の保護という側面もあるのだと思います。
しかし、人口減少社会が現実のものとなった今、高度な専門性を必要としない業務分野にも外国人の力を必要としているところは数多くあります。

外国人を大量に受け入れることは、我が国のアイデンティティの変容にもつながりかねないセンシティブな問題ではありますが、国としての力を維持するために、決断すべきときに来ているのではないかという気がします。

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