会社都合の高い時給の一方的引き下げ 問題点は?

 | 社会保険労務士
小倉 越子

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高い時給の一方的引き下げが話題に

居酒屋チェーンなどで、「店側による高い時給の一方的引き下げ」が話題になっています。
具体的には、年末の繁忙期に、通常の時給ではなかなか人が採用できず、高い時給で人を集めて、繁忙期が終わると一方的に時給を引き下げるというものです。
これは、いわゆる労働条件の「不利益変更」に当たります。

高時給で短期雇用した人を長期雇用に移行するときに行うこと

私も、大型ショッピングセンターの人事で、年末の繁忙期を7回経験しました。
お歳暮スタッフ、年賀状スタッフの確保に始まり、クリスマスのおもちゃ売場、ケーキ売場、チキン売場、花売場の人員を集めたかと思えば、年末の食品売場の体制を整えなければなりません。
年越しそば、お正月用食材、お年賀、手土産ギフトと年末の食品売場は、正に人海戦術です。
通常よりも高い時給を設定し、「短期年末スタッフ大募集」の文句で毎週のように募集広告を出して、毎日が採用試験と面接の日々でした。

原則「短期スタッフ」ですので、労働契約期間が終われば円満退職です。
しかし、中には店側もぜひ長く仕事を続けてほしい人、また本人も継続して働くことを希望する人もいました。
そのようなケースでは、話し合いをして、今後は通常の元々いる人達と同じ時給になることを納得してもらった上で、雇用契約を結んでいました。
また、採用の段階で長く働くことを希望している人に対しては、「今回の契約は短期なので、この時給ですが、長期契約に移行する場合には通常の時給になります」と説明をしていました。

会社事情で時給を引き下げざるを得ない場合すべきこと

今回話題になっているケースの中には、「年末の繁忙期に、翌年の3月末まで時給1,600円で契約したにもかかわらず、年明け早々に一方的に1,200円に引き下げられた」というのもありました。
1,600円から1,200円では4分の3に引き下げられたことになります。
そもそも、契約が3月末まで有効なわけですから、店側にどんな事情があるにせよ、3月末までは1,600円の時給を保証しなければなりません。
時給を引き下げるのであれば、次回の契約(この場合は4月1日)からです。 
また、会社の経営状況で、やむを得ず時給を引き下げなければならないような場合には、上記の例のように一気に3分の2に引き下げるのではなくて、段階的に引き下げていき、最終的にはいくらになるということをあらかじめ明示しておくことが重要です。
例えば、「次回の契約で、50円引き下げ、次々回の契約では50円引き下げ、最終的には1,500円になります」というように、働く人に対する配慮を持った対応です。

そもそも、時給を下げること自体が問題なわけですから、最悪下げざるを得ない場合には、会社は最大限の誠意を示して、働く人の納得を得ることが大前提です。

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