国交省が手数料の上限緩和検討 空き家仲介促進につながるか?

 | 不動産コンサルタント
森田 伸幸

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国交省が中古物件の売買仲介手数料の上限緩和を検討

国土交通省が空き家の利活用促進を図る目的で低価格の中古物件売買における仲介手数料の上限を緩和する検討に入りました。
宅地建物取引業法では売買価格によって仲介手数料の上限が変わってくるため低価格の物件は不動産業者から敬遠されがちであることを考慮したものと思われます。
空き家の中には所有者に関する調査だけでも相当な費用と期間及び関係者との協議等が必要になる物件が少なくなく、労力と時間の割には手元に残る手数料に満足ができないことには頷けます。

現行の宅建業法では手数料上限を「売買価格200万円までは価格に5%を乗じた額」「200万~400万円未満の部分は4%を乗じた額」「400万円以上の部分には3%を乗じた額」(いずれも税抜き)と決めています。
売買価格が300万円であれば仲介手数料は「200万円×5%+100万円×4%」と計算し手数料の上限額は「14万円」となります。
今回の改正案はこの14万円に調査費等の経費を加算できるとされ最高で400万円未満の物件でも最高18万円まで受け取れるようにするというものです。

手数料の上限緩和だけでは中古市場の活性化は難しい

しかしこの程度の上限引き上げで不動産業者のモチベーションが上がるかは疑問ですし、そもそも築古物件の利活用が促進しない理由は売買当事者である売主買主へのインセンティブが不足していることが一因であることも考えなくてはなりません。
築古空き家の譲渡所得控除や買主の住宅ローン控除を適用させるために「耐震基準適合証明書」もしくは「既存住宅瑕疵保険付保証」を取得する必要があり、耐震診断や耐震補強工事等のコストが別に負担となることも利活用の阻害原因となっています。

築古空き家の利活用促進は買手目線で見ることも不可欠で買手へのインセンティブを上げることが優先されるべきと考えます。
築古空き家の最大の魅力は何と言っても取得コストの低さであり、購入にかかる優遇税制の適用ハードルを低くすることも検討の余地があると考えます。

中古市場を活性化させていくには更なる施策が必要に

これまでの新築建設へ偏重していた施策を中古市場流通主導型(ストック市場型)に切り替えるにはドラスティックな改正や規制緩和を市場では求めているのではないでしょうか。
例えば、仲介手数料の上限を上げるならば「売買価格500万円までは価格の6%を上限とすることができる」、売買への安全性を図る上での「バイヤーズエージェント制度(購入者代理制度)を創設する」、購入者選択主導型の「ホームインスペクション制度(住宅診断)を助成する」、などこれまでにない施策が検討されることが望まれます。

仲介手数料の上限を僅かばかり上げたところでその効果は期待できないと思われますし、宅建業法を改正する前に宅建業法下で従事するプレイヤーの質に言及しなければなりません。
中古住宅は新築住宅と比べると物件調査や関係者との調整により専門性が求められる物件が多く、購入後に異変や不具合に気付き後悔や泣き寝入りをしている購入者が未だに存在するのも事実です。
「宅地建物取引士」の資格を有しない素人同等のプレイヤーを排除し、専門家を育成することも同時進行で検討してもらいたいものです。

「築古空き家を購入して本当に良かった」という声が消費者に広がれば空き家の利活用も活性化すると確信します。

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